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ITコラム
AIのはてな

第2回 人工知能(AI)の分類、機械学習、ディープラーニングについて

  (1)人工知能(AI)の分類

人工知能(AI)はいくつかの種類に大別できます。

たとえば「人間のように考えるコンピューター」と「人間の能力の一部を代替するシステム」とでは、どちらも人工知能と定義されますが、持っている機能はまったく異なります。

具体的には「汎用型AI」と「特化型AI」、「強いAI」と「弱いAI」に分類して考えることができます。
「汎用型AI」と「特化型AI」は「人間のように広範な課題を処理できるか」といった「課題処理」の観点で分類した概念。
一方、「強いAI」と「弱いAI」は、「人工知能が人間の意識や知性を持つかどうか」という「全脳知処理」の観点で分類した概念です。
つまり、「強いAI」と「弱いAI」、「汎用型AI」と「特化型AI」の関係性は、どのような観点で人工知能を判断するかの違いから分類されています。
「強いAI」と「汎用型AI」、「弱いAI」と「特化型AI」は観点が異なる近い概念といえます。

<汎用型AIとは>
汎用型AIとは、特定の課題にのみ対応するのではなく、人間と同じようにさまざまな課題を処理可能な人工知能を指します。
人間は、想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できます。
現在のところ汎用型AIの実現への方法は明らかになっておらず存在していません。恐らく、2045年に来るといわれているシンギュラリティ(技術的特異点)が起きると実現し得るAIとなります。

 汎用型
AI例
 ドラえもん、鉄腕アトム、ターミネーター、アベンジャーズのウルトロンのようなロボット、アンドロイド、ナイトライダーのK.I.T.T(キット)


<特化型AIとは>
特化型AIとは、限定された領域の課題に特化して自動的に学習、処理を行う人工知能を指します。
具体的には、画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術を持つ人工知能です。 現在ビジネス領域で広く活用されている人工知能は特化型AIに当たります。

 特化型
AI例
 画像認識、音声認識、自然言語処理(Siri等)、自動運転、無人レジ(天神橋筋商店街内(大阪)、高輪GW駅(東京)、アルファ碁


<強いAIとは>
強いAIとは、「正しい入力と出力を備え、適切にプログラムを与えられたコンピュータは問題を本当の意味で理解することができる。それは人間と同じように意識・思考を持っている」と定義されています。
人間のような自意識を備え、全認知能力を必要とする作業も可能な人工知能を指します。

<弱いAIとは>
弱いAIは「意識・思考を持たない人工知能」と定義されます。
人間の知性の一部分のみを代替し、特定のタスクだけを処理する人工知能を指します。

  (2)AIを用いて、できる事

処理することのできるレベルや機能の及ぶ範囲によって、レベル別に分類する事ができます。

<レベル1:シンプルな制御プログラム>
人工知能として、最も単純な働きをする制御プログラムが該当します。
言われたことを忠実に行う単純な制御プログラムですが、この制御プログラムが搭載された電化製品が、「人工知能搭載」と称されることがあります。

(例)
・エアコン、冷蔵庫の温度調整
・洗濯機の水量調整

<レベル2:古典的な人工知能>
レベル1のAIのような単純作業を行うだけでなく、様々な局面に対して探索、推論、知識データを利用することで、対応できるような古典的なAIが該当します。

人間の持つ知識をできる限り多くプログラムとして入れ込むことで、対応できる領域を拡張していくのがレベル2の人工知能です。
ただし、この人工知能は自ら学習することはできません。

(例)
・自動掃除のロボット
・将棋のプログラム
・チャットボット
・診断プログラムに使われるエキスパートシステム

<レベル3:機械学習を取り入れた人工知能>
大量のサンプル数から自動的にそのパターンとルールを学ぶことができる機械学習を取り入れたAIが該当します。
また、ビックデータを元に自動的に判断したりします。
判断軸を学習させておけば、データからルールを設定・学習してより良い判断ができるようになります。

(例)
・検索エンジン
・交通渋滞の予測

<レベル4:ディープラーニングを取り入れた人工知能>
レベル3での機械学習では、人間が特徴量という変数をinputする必要がありましたが、レベル4では特徴量を機械が自動的に学習するディープラーニングを取り入れたAIが該当します。

人間が入力した特徴量のみではなく機械が学習して判断できる人工知能のことになります。

(例)
・画像認識
・音声認識
・自動翻訳
・AlphaGo(Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラム。過去の試合データを学習データにしています)
・AlphaGo Zero(過去の試合データを使わず、ビッグデータ不要で自己対局のみでスキルアップするコンピュータ囲碁プログラム)

  (3)機械学習とは

機械学習とは、人間の学習能力を模倣し、大量のデータを処理しながら分け方を自動的に習得することです。
イエスかノーかで答える問題を分ける「特徴量」(判断軸)を与えれば、それを活かしてコンピュータが自動的に学習していくことが「機械学習」です。

また自動的に学習させるためには、
・どのようなデータを学習させるのか
・どのような学習方法で学ばせるか
・どのようなアルゴリズムを使用するのか

を人間が設計しなければいけません。

この設計には、非常に手間がかかり様々な調整を何度も何度も繰り返してテストすることで最適な学習方法を見つける必要があります。その点では、機械学習は万能ではありませんし、人工知能が意思を持って勝手に学んでいるわけではありません。

機械学習には大きく分けて三つの学習方法が存在します。
教師あり学習、教師なし学習、強化学習の三つです。

●教師あり学習
教師あり学習とは、人間が「正解」や「不正解」を与えて学習する学習手法です。つまり人間が機械に「正解」や「不正解」を教え、それを学習することで新たな未知のデータに対しても「正解」や「不正解」かを判定することができるようになるというものです。
与えられたデータ(input)を元に、そのデータがどんなパターン(output)になるのかをを識別・予測します。

(例)
・過去の売上(input)から、将来の売上を予測(output)
・メールのフィルタリング
・翻訳

●教師なし学習
教師なし学習とは、人間が「正解」や「不正解」を教えることなしに学習を進める手法のことを言います。
大きな特徴は、教師なし学習ではそのデータがどんな結果(output)になるのかを識別・予測はできず、データの特徴からグルーピングしていきます。
教師なし学習では、正解・不正解が明確でない場合に効果を発揮します。

(例)
・ECサイトの売上データから、顧客層の特徴を把握する
・入力したデータの項目間にある関係性を把握する

●強化学習
「強化学習」は、教師なし学習と同じく「正解」や「不正解」データは与えられませんが、データの出力を価値(一連の行動全体を経て生まれる効用)づけし、その価値を最大化するための行動をとるようにアルゴリズムを最適化します。
望ましい出力結果に対し報酬(スコア)を与え、コンピュータに良い出力を学習させます。

(例)
・アルファ碁、アルファ碁ゼロ、アルファゼロ
・自律制御ロボット
・自動運転

  (4)ディープラーニング(深層学習)とは

深層学習(ディープラーニング)とは、機械学習の中の一手法で、「特徴量」(分けるための判断軸)を自分で見つけることができるものを言います。

先ほどの機械学習では、物事を判断する判断軸は人間が取り付け、その上で機械自身に学習させていくものでした。
一方で、ディープラーニングは人工知能がその判断軸すらも自発的に創り出し、自発的に学習していくという点で異なります。

判断軸を自発的に作り出す仕組みは以下のようになっています。

まず、機械学習の具体的な学習の仕組みとして、人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。
ニューラルネットワークは人間のニューロンを模しているということで、脳の中にある無数のニューロンが、隣のニューロンに電気信号を伝達していく様子がモデル化されています。

ニューラルネットワークの構造は、
・入力となるデータを入れる入力層
・入力層から流れてくる重みを処理する隠れ層(または中間層)
・結果を出力する出力層
で構成されます。

ディープラーニング は、このニューラルネットワークの中間層にあたる隠れ層をたくさん増やし重ねたものになります。
隠れ層を重ねて、数を増やすことにより、複雑なデータの学習を可能にしているのです。

この層を重ねて深くなったものを「ディープニューラルネットワーク」と言い、このモデルを利用して機械学習をすることを「ディープラーニング」と呼びます。

たとえば、層が複数あると、ある層は色について考える、ある層は形について考える、のように分解して考えられます。
何を基準とするべきかを、ディープラーニングが自動的に学習できるようになり、人間が考えた特徴量よりも認識精度が高くなりました。
しかし、特徴量をコンピューターが判断するため、出力の根拠が可視化されず、ブラックボックス化してしまうという欠点もあります。

第1回 人工知能(AI)とは